他人の作った仕組みで働くのが嫌なら独立して起業するかフリーランス になる?
会社の従業員は時間や労働力を提供する代わりに毎月のお給料がもらえるようなシステムになっていまして、従業員がお給料やボーナスを貰うためには会社の経営者の指示に従う必要があります。
そこには例え苦手な仕事だったとしても成し遂げられるよう努力する義務や、気乗りのしない転勤命令にも従わざるを得ないような見えない圧力が生じる訳です。
そういった他人の作った仕組みの中で働くのが嫌だからという理由で独立して起業するかフリーランスになる選択をする人もいるでしょう。
しかし現実はそう甘くはないのです。
起業そのものは簡単なのですが実は存続させることが難しいのです。
甘くない独立起業とフリーランスの世界
最近はSNSなどでフリーランスや独立起業がもてはやされていますが、実は成功者というのはほんの一握りで、その陰には表に出て来ず人知れず廃業した人達も大勢いるのです。
資金繰りが行き詰り廃業を余儀なくされた人は、借金返済に追われてWワークする羽目になったり、会社員勤めに逆戻りして毎日忙しく働いていたりしますからSNSに興じている余裕さえないのが現状なのです。ですから、そんな失敗談をネット情報やSNSで見かける事が極めて少ないです。
こういった事情があるため多くの人が目にするのはほんの一部の成功者の例でしかないのですが、その成功例こそが全てなのだと思い込んでいる人もいます。
華々しく見える起業家も実は苦労している
今現在起業で成功している人の中にも起業当初は会社にも自分自身にも信用がなく銀行もなかなか融資をしてくれず、資金繰りに行き詰りそうになり、公園で途方にくれ廃業まで考え、その後幸いにも融資してくれる銀行をたまたま見つけて持ち直したという起業家もいます。
また廃業寸前で事業の方向性を変え、なんとか持ち直した後で大成功を収めた起業家もいます。
多くの人はこういったサクセスストーリーを見ると、自分も同じように最終的に大成功するはずと安易に考える人がいますが、緻密なマーケティング戦略を行っていても実際のところ上手くいかない人の方が多いのが現状なのです。
起業には莫大なお金がかかり、気力・体力・知力・経験値も必要
会社勤めが上手くいかない人やフリーターの経験しかない人達が安易な理由で起業しても、ほとんど上手くいきません。
なぜなら起業には膨大なお金がかかるからです。
起業と言いましても実際には事業内容にもよりますが店舗を持つと概ね数千万円のお金が必要になりますから、多くの人が起業時に多額の借金を背負うことになるのです。
毎月、店舗の家賃や経費を払いつつ借金返済をしていくことは、精神的にもかなりのストレスになりますし、それを乗り越えていくには強い精神力も必要になりますから、バイトやパートなどのフリーターとして責任のない仕事をしてきた人達にできるとはとても思えないのです。
その上、事業を始めると目まぐるしい忙しさになりますから気力・体力・知力・経験値も必要になります。
パートやバイトなどの非正規雇用で残業の経験さえないような人達が急に「起業したい!」なんて言い出すことがありますが、これは絶対に辞めておいた方がいいです。
まず起業の準備段階で凄まじく密度の濃い時間が必要になり起業後はさらに忙しくなりまして、商売が軌道に乗る1~2年後までは働き詰めになるからです。信じられないかもしれませんが自営業で自分の店を持って定休日を作ったところで、休んでいる暇はないのです。
なぜなら定休日にはやることが山積みになっているからです。起業したら商売を軌道に乗せるまでは1年365日の内、休める日はないに等しいのです。ですから気力・体力は絶対に必要です。
また、新しいことを吸収したり次々に起こる問題を解決する必要もあり知力や経験値がなければやっていけません。
要するに甘い世界ではないということです。ですから起業に向いているのは、正社員としてバリバリ働いてきた人やブラック企業並みの環境に耐えられる人なのです。到底、終業時間になれば帰れるようなぬるま湯で働いてきた人間には勤まりません。
ただ、最初の1~2年間、厳しい環境に耐え抜いて商売を軌道にさえ乗せてしまえば資金繰りも楽になり従業員を雇える余裕もでてきますから、そうなるとやっと休めるようにはなってきます。
それまで乗り切れるかどうかが鍵になってくると思います。
フリーランスは自由な反面、不安定で仕事を取れる保証はない
ノマド的な働き方が選べ、起業よりも初期投資が必要ない分リスクが低いと考えられがちなフリーランスは最近特に人気が高いですよね。
ここ数年では大学卒業と同時に就職せずいきなりフリーランスとして働く人もでてくるようになりました。
また、勤めていた会社を辞めていきなりフリーランスに転向する人もいます。
しかし何の前準備もなくフリーランスになっても成功する人はほとんどいません。
これは知人から聞いた話ですが、会社を辞めて失業保険を貰いながらハローワークの教育訓練でサイト作成の知識を身に着けた後でフリーランスになると意気込んでいた男性が、半年経っても1年経っても仕事が全く取れず、失業保険も貯金も尽きて結局サラリーマンに戻ったのだそうです。
フリーランスは傍から見れば楽で気ままに見えますが、実績がない人間には仕事の依頼はきませんし、小手先の技術面だけを習得しただけでは稼ぐことはほぼ不可能で、実績のない内はクラウドソーシングの単価の安いライティングの仕事くらいしか選択肢がないのです。
ですからほとんどの人がそれでは生活できないと挫折して、また会社員へと戻っていくのです。
会社員の経験があれば男性も女性も30代位までなら、転職も容易にできますからまだいいのですが、大学から社会人経験のないままフリーランスになってしまって実績を残せなかった人達は、失敗した後、よい条件の会社に入ることが難しくなってしまいます。
こういった事が現実に数多く起こっているので、私は社会人経験のない人やパートやバイトの経験しかないような人達へフリーランスをおすすめしたくはありません。
私の知る限りで成功しているフリーランスは高学歴で大企業・商社・銀行に勤めていたような人達もしくは、学歴はなくても人を惹きつける文章や絵が描ける才能のある人達くらいですね。
大学卒業後は新卒切符で一旦は会社に就職した方が良い!
大学卒業後は新卒切符でしか入社できないような大企業に就職し、その環境が自分に合っているのならばそのまま働き、そうでなければITベンチャーにでも転職し、フリーランスとしてやっていけるだけの実績を積むなり、副業で成果を出すなりして確実に「これは行ける!」と判断してからフリーランスなり起業なりしてほしいと思っています。
その方がリスクが抑えられますし、失敗しても転職しやすいからです。